クラウドはITの話ではなく人間の話 – サーバーワークス代表 大石良氏(3/6)

The Value Talk 第2回 株式会社サーバーワークス 代表取締役 大石良さん

  1. クラウドとの出会い
  2. 東日本大震災とともに訪れた転機
  3. クラウドはITの話ではなく人間の話
  4. クラウドで、世界を、もっと、はたらきやすく
  5. サーバーワークスの5つの行動指針
  6. 自ら実現しながら発信する会社

Chapter 3:クラウドはITの話ではなく人間の話

大石
人間って、「人間の役に立つために」コンピュータを使っているわけですよね。しかし、気が付いたら「人間がコンピュータのために」働くような状況になっています。コンピュータの近くにいて「おもり」するのではなく、離れた場所にいてもコントロールできる方が良いはずです。人間が本当に生活しやすい、働きやすい環境を作るために、手段の一つとしてコンピュータがあるのですから、クラウドの方が本質的ではないかと思います。震災時の経験を通じて、これが確信になりました。
古森
そこに確信をお持ちなのでしたら、今の千倍くらい世の中に伝えるべきですね。どれくらいの人が今、クラウドをそのような文脈で理解しているでしょうか。お話を伺っていて勝手にキーワードが浮かんだのですが、これは「人類にとって初めて可能となった地球規模でのリアルタイム役割分担」みたいなものではないでしょうか。
大石
Googleは、今まさにおっしゃった通りのことをやっていますね。赤道と平行でデータセンターを持っていて、夜だけ稼働させているといいます。理由は、電力効率化と温暖化対策(熱対策)ですね。”Follow the moon Datacenter“と呼ばれています。そこまでオートマチックにやらなくても、クラウドを使うことによって本当の意味の役割分担が地球規模で進んでいくことは間違いありません。
古森
AmazonやGoogleという企業名のことではなく、「技術によって人間の生き方、働き方が変わる」という、すごい時代を生きているなと思います。ITの登場で働き方が良くも悪しくも変わり、かなりの人々がむしろ忙しくなったわけですが、今度はクラウドの発達によって再び人間らしい本来の生活を、以前よりもレベルアップしたインフラの上で実現できるようになる、ということですね。なんだか、希望が持てますね。
大石
serverworks-photo04本当に、コンピュータを自前で持つと、信じられないほどの時間を「おもり」に使うことになってしまいます。所有してしまうと、捨てる際にも多大な時間や手間がかかります。クラウドが提供するおおきな価値の一つは、「時間」です。購入する、セットアップする、「おもり」する、捨てる・・・。全部、手間と時間が掛かります。私自身、サーバーの「おもり」に時間を費やすのは、人生のあり方として耐えられないという思いです。友人の死で人生観が変わったこともあって、多くの人に「人生の時間を貴重に思って頂ければ」と感じるようになりました。時間を圧縮するツールとして、クラウドがあるのです。


古森
今日のお話を伺っていて、私個人のクラウド観が変わりました。何と言いますか、腑に落ちた感じです。御社の事業分野が、人類や社会に対して与える価値はそういうところなのですね。

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