ウズベキスタンから神戸へ – SOPHYS Corporation CEO & President Fariza Abidova(ファリザ・アビドヴァ)さん(1/5)

SOPHYS Corporation CEO & President Fariza Abidova

  1. ウズベキスタンから神戸へ
  2. 「職場での異文化理解」の研究
  3. 独自のプログラム開発
  4. 日本企業のグローバル化課題
  5. 今後の展望

1.ウズベキスタンから神戸へ

古森
本日は、お忙しい中にお時間をいただき有難うございます。ファリザさんとは、異文化理解に関するプログラムで協働させていただく機会がありますが、あらためて今回、これまでの経緯や思いなどについてお聞かせ願えればと思い、この対談をお願いしております。よろしくお願いいたします。
ファリザ
Fariza Abidovaこちらこそ、よろしくお願いいたします。
古森
ファリザさんは、ウズベキスタンのご出身ですが、日本の大学を卒業されているのですね。
ファリザ
はい。私のフルネームは、ファリザ・アビドヴァと言います。日本の皆さまには聞き慣れない名前かもしれませんね。ウズベキスタン出身です。2005年に日本の文部科学省(MEXT)の留学生として来日しまして、神戸大学で異文化間コミュニケーションを研究していました。その後、2010年にSOPHYS株式会社を設立して、おもに日本の大手企業向けに異文化理解をベースとしたグローバル・タレント育成のセミナーやコンサルティング・サービスを提供しています。
古森
なるほど、そうでしたか。私も日本企業のグローバル化における組織人事分野のコンサルティングや研修の仕事が多いのですが、異文化理解に関するテーマは多くの日本企業で重要課題になっていますね。そもそもなぜ、ファリザさんは異文化理解について深めてみようと思われたのですか。
ファリザ
神戸大学の在学中に、ひらめきがありました。神戸大学には、私と同じように世界中の国々から多くの外国人留学生が来ていました。彼ら、彼女らと友達になり、いろいろとお話をしている内に、多くの人が長い間日本に住んでいるにもかかわらず、日本人の友達がほとんどいないことに気づきました。
古森
長年日本にいるのに、友達が少ない・・・。寂しいですね。
ファリザ
それは本当に寂しいですよ。日本人は、一般論としては丁寧で礼儀正しくフレンドリーなのですが、外国人留学生との交流になると、何らかの理由で壁ができていました。日本人と外国人が別のグループに分かれていて、友達になりづらくなっていたのです。
古森
その状況を、なんとかしたいと思ったのがファリザさんの異文化理解探求の原点なのですね。
ファリザ
はい。私が生まれ育ったウズベキスタンには、およそ130の民族が暮らしています。その多様性の高さは、日本の比ではありません。しかし、ほとんどの人が自分とは違う民族出身の友達をたくさん持ち、日本人と外国人といった形で別のグループに分かれることはあまりないのです。ですから、在学中に気づいたあの状況は、私にとっては不思議な光景でした。このことがきっかけとなって、私は日本人と外国人の学生の間に生じている異文化間の誤解について研究しようと思いました。
古森
決してお互いに避けているわけではないのですよね。
ファリザ
そうです。研究の結果、学生たちは、本当はコミュニケーションを通してお互いの国や文化について知り、良い友達になりたいと思っていました。しかし、相手に対するステレオタイプの印象に邪魔されて、結果はそうなっていないということが明らかになりました。また、日本人の学生たちは、言葉の壁を気にして外国人の学生たちと接することをためらっていました。
古森
やはり、言葉の壁の課題も出てきますね・・・
ファリザ
日本人の学生たちは、自分の英語スキルが不十分なために、外国人とコミュニケーションをとることが難しいと感じていました。しかし、実際には彼ら、彼女らは私から見ると十分な英語のスキルを持っていたのです。語学スキルの問題というよりは、考え方、感じ方の問題だと思いました。
古森
Tsuyoshi Komoriそれは、グローバル化を進めている多くの大企業の日本人社員についても言えることです。仕事柄、よくエグゼクティブ向けの英語の講師の方々と情報交換をするのですが、「英語のスキルではなく、自分の英語でいいのだというマインドが足りない人が多い」という指摘をよく耳にします。


ファリザ
学生に限らず、全般的な傾向かもしれませんね。そして一方で、外国人の学生たちは、そのような日本人学生の振る舞いを見て誤解をしていました。自分たちは日本人の学生から避けられており、自分たちと会話することも歓迎していないのだと感じていたのです。
古森
お互いに、悪気はないものの不幸な誤解をしていたわけですね。

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