- ウズベキスタンから神戸へ
- 「職場での異文化理解」の研究
- 独自のプログラム開発
- 日本企業のグローバル化課題
- 今後の展望
4.日本企業のグローバル化課題
古森
異文化理解に関わるプログラムの提供を切り口にして多くの日本企業と向き合ってこられた中で、どんなことがグローバル経営課題の核心にあるとファリザさんは思われますか。
ファリザ
そうですね・・・。まず大きいのは、シンプルな話になってしまいますが、グローバルで活躍できるタレントの不足によって、海外での多数のビジネスチャンスを逃しているということですね。これは、無視できない事態です。かつ、そのことに課題意識や関心を持っている人が非常に多いかというと、本当のところは、それほどでもないように思います。
古森
少なくとも表向きは、多くの人が「異文化理解が大事だ」とおっしゃいます。しかし、必ずしも本気ではない場合もある、とファリザさんは感じておられるのですね。
ファリザ
残念ながら、そういう場面が多かったですね。そして、さらに驚いたのは、昨今の日本の若者たちの多くが「海外で学んだり働いたりすることに意欲を感じていない」という話を聞いたことです。実際、体験的にも思い当たるふしはあります。私が日本の大手企業のリーダーやマネージャー候補生向けのセミナーを実施する際、「グローバル」という見せ方をすると、受講者が少ない場合がよくありました。内情を伺ったところ、受講対象者たちは、「グローバル」と名のつくセミナーを受講することによって海外拠点への赴任者として選抜されることを危惧して、「グローバル」に関係するセミナーを避けようとしていたことがわかりました。
古森
その傾向は、企業によってはそうでもない場合があります。海外志向の強いタレントが集まっている企業もあります。が、日本企業セクター全体といいますか、日本社会全体を視野に入れると、「是非海外での仕事にチャレンジしたい」というエネルギーは、それほど高くないかもしれませんね。観光ではなく仕事でというところがポイントです。若い人には限らないと思いますが。
ファリザ
外国は「危険」で「不便」なところだと考えて、ネガティブなイメージを持っている方もよくお見かけします。もっとも、自分の知らないことについて、人間が怖れを抱くことは自然なことですが。