酒造りと人づくり – 本坊酒造代表 本坊和人氏(4/4)

The Value Talk 5 本坊酒造株式会社 代表 本坊和人さん

  1. ウィスキーづくりを創業の地で
  2. 日本全体の地域活性化への視点
  3. 世界からリスペクトされる酒類企業へ
  4. 酒造りと人づくり

Chapter 4:酒造りと人づくり

古森
最後に、本坊酒造さんにおける「人づくり」のことについてもお聞かせ願えますか。よく、「酒造りは人づくり」などと言われますが、何かこだわっている点などありましたらお教えください。
本坊
私は社内で、「お酒のビジネスとは何なのか。深く考えよう」という趣旨の問いかけを続けています。お酒とは、何か。人類にとって、お酒とはどういう存在なのか。
古森
本質的な問いですね・・・。
本坊
歴史をたどれば、人類が文化文明を考えるようになった時には、もうそこに酒があったわけです。これからの時代も、人類がこの世界で続いていく限りは、酒はきっと人類の横にあり続けるでしょう。最近の世界で言うと、ITのスタートアップなどで大きなキャピタルゲインをあげて大富豪になった人たちが、結局何をしているか。ワイナリーなどの酒造所を経営し始めるケースは非常に多いのです。テクノロジーと資本主義の極みを経てもなお、結局人類は酒の現場に戻って行くのです。
古森
それくらい、人類の原点のようなものを預かる仕事だということですね。
本坊
私自身、南九州コカ・コーラ勤務から本坊酒造に転じて、1985年に、ウィスキー造りを経験しました。責任者の一人として、用地買収からマルス信州蒸溜所の立ち上げに携わり、第一回目の蒸留を経験しています。私が30歳の時です。その時に生まれた原酒が時を経て、今年30年物として出てきます。そのようにして生まれたお酒が、飲み手の皆さまの横に届けられていきます。素晴らしい仕事だと思います。本坊酒造で働く全ての人に、そういう感覚を持ってほしいと思っています。
古森
ところで、御社ではなにか挨拶ということに関して、社員教育的なことをしておられたりしますか?今日行く先々で、お会いする方が気持ちの良い挨拶をして下さるものですから・・・。
本坊
ああ、そうですね。挨拶に関しては、本坊修会長をはじめ歴代にわたり取り組んでいます。挨拶をすることで、単に職場が明るくなるだけでなく、組織の上下を超えたオープンな雰囲気が生まれます。弊社の社風は、経営トップと現場との距離が非常に近いことにあります。それも、こうした挨拶運動が一役買っているのではないかと思います。挨拶に限らず、社内での懇親機会も多いですよ。
古森
素晴らしいですね。世界と日本を広く視野に入れつつ、地域活性化の道筋を考え、足元ではしっかりと有機的な仕事の取組みがある。そして、人間の協働空間として明るい職場がある・・・。もちろん、経営ですから何もかもがバラ色にはならず、色々なご苦労もあることと思いますが、経営トップが目指しておられる方向に共感を覚えました。津貫の地で生まれるウィスキーがどんな味になるのか。本当に楽しみです。

本坊社長、本日はお忙しい中に貴重なお話をお聞かせ下さり、本当に有難うございました。また、蒸溜所完成後に訪問させていただきます!

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[The Value Talk] 第5回 本坊酒造代表 本坊和人さん

  1. ウィスキーづくりを創業の地で
  2. 日本全体の地域活性化への視点
  3. 世界からリスペクトされる酒類企業へ
  4. 酒造りと人づくり