人は本当にすごい力を持っている – ムーンスター久留米工場長 市丸和幸氏(3/5)

株式会社ムーンスター 久留米本社工場長 市丸和幸さん

  1. エースは要らない!生産性改善は意識改革から
  2. 遊び心って何ですか?マザー工場(久留米本社工場)のお愉しみ
  3. 人は本当にすごい力を持っている
  4. 人はめんどくさい生き物
  5. 生産性とニコニコの両立〜次世代へのバトン〜

Chapter 3:人は本当にすごい力を持っている

黒木

tvt-06_06

お話は変わりますが、先ほどの「人間てすごい」というお話。人の可能性を信じている市丸さんが感じられるのですが、その感覚や信念が醸成された体験や家庭環境などがあったのでしょうか?個人的な質問になるかもしれませんが、私自身リーダーと対話していて、軸のようなもの、それを支える信念や想いについて触れることが多いものですから、是非伺ってみたいと思いまして。
市丸
嗚呼・・あります。とても影響を受けた体験が。
私、長崎の生まれなんですが、中高と陸上部で、顧問だった恩師、浦啓二郎先生との出逢いが大きいですね。
黒木
陸上部出身で靴を作られているんですね。
市丸
ええ。自分でいうのも何ですが、私は真面目で、練習は中学の時から一生懸命やってました。負けず嫌いでもあったので。しかし成果が全く出ないまま、レギュラーになることもなく高校へ。そこで浦先生に会うんです。先生はひとりひとり適性を考えて異なる練習メニューを組まれました。もちろんすぐには芽は出ず相変わらず選手にはなれず・・。ところが、高校2年の時に突然・・ほんとうにある日突然タイムがあがり、高3でインターハイに出たのです。
黒木
いきなりタイムが上がってインターハイ!
市丸
自分でも驚きました。それまでレギュラーにもなれなかったので。
1人400m走る1600mリレーで出場しました。一応進学校だったので、他のスポーツ万能な生徒を集めている私学と違って素人集団です。一級のエースなんて1人もいません。そこで、県内総合2位をとったんです。
黒木
そんなことってあるんですねぇ・・。そんなミラクルが後で起きるなんて知らない当時の市丸少年は、途中で辞めようと思ったことはなかったのでしょうか?

tvt-06_07

市丸
何度も思いました。勉強へのプレッシャーもありましたし、何年努力しても速くはなれませんでしたし。辞めなかったのは負けず嫌いだったのと、あとは2年生の時に「おまえがキャプテンだ」と先生に言われて、それが大きいですかね。自分より速い人はいましたし、私のような駄馬にキャプテンやれって。
黒木
先生、よくみてらしたのですね、きっと。適性を。
市丸
ははは・・「人はすごい力を持ってる」「可能性は無限大にある」という私のベースとなる考えも、こういう体験からきているのかもしれませんね。今想うと。
黒木
今の市丸さんの工場改革を先生にお知らせしたいですね。
市丸
天国から観てくれているでしょう。私は今も自分をキャプテンだと思っているのかもしれません。自分よりできる人はたくさんいる。リーダーは上から引っ張る力も必要。ですが私はキャプテン目線なんです。暑い時は一緒に暑い、寒い時は一緒に寒い想いをしながら皆で工夫したり考えたり失敗したり。そうやって自分も現役のまま集団をとりまとめているイメージです。
黒木
現役キャプテン、いいですね。しかし、今は可能性を信じるだけではなくて、実際は評価して点数をつける立場。どのように折り合いを?
市丸
わたし、部下にB判定つけるときは、自分につけているようなものだと思っています。部下の可能性、意識や能力が引き出せていないのは自分だと。
黒木
すばらしい・・市丸キャプテンに人がついてくるはずです。

>> 4.人はめんどくさい生き物