2015.08.20
原点は学生時代のアジア旅行 – 旅と平和代表 佐谷恭氏(1/6)
Chapter 1:原点は学生時代のアジア旅行
- 古森
- パクチーハウス東京を運営している会社の名称が「株式会社旅と平和」だと知った時には、正直言って驚きました。「なんだこれ?」という感じで。そして、私自身も旅や平和について思うところがありまして、とても興味を持ちました。そもそも、なぜ「旅と平和」なのですか。
- 佐谷
- そういう言葉になる前の、本当に原点ともいうべき体験は学生時代のアジア旅行にあります。大学生でもアルバイトをしてお金を貯めれば海外旅行には行けましたから、随分と旅をしました。
- 古森
- 是非、その原点のお話をお聞かせください。
- 佐谷
- 私はずっと、飲み会などを通じて仲間と楽しく交流するのが大好きなのですが、大学生当時も色々とサークルを立ち上げたり、海外に行けば行く先々で友達を作ったりしていました。特にアジア地域への旅は、経済格差が今よりもさらに大きかったために安価で行きやすかったですね。しかし、同時にその根本にある経済格差には常々疑問を持っていました。
- 古森
- 疑問・・・。
- 佐谷
- はい。私が出会って友達になった人たちは、私が再度その地を訪問してもだいたい同じ場所にいるわけです。一方で、向こうから突然日本に来て私に会うということは、ほとんど考えられませんでした。これって、なんだかフェアじゃないな・・・と思ったものです。
- 古森
- 今でこそ中国やアジアからインバウンド観光の流れが大きくなっていますが、およそ20年も前となると、まだ相当な格差があったでしょうね。今だって、海外旅行など考える余地もない人々も世界にはたくさんいるわけですし。
- 佐谷
- そうなのです。当時は旅行中に、ついこちらからおごってあげたりもするわけですね。ビール一杯30円くらいでしたし、食事しても300円もあれば十分なわけです。でも、おごるというのは、本来は「次は私が」という関係が継続していくから良いのであって、一方的にこちらが払うというのは嫌なものです。金銭の負担がということではなく、そういう関係が嫌だということです。
- 古森
- わかります。
- 佐谷
- でも、当時は学生の私がそのような立場になっていました。先方の物価が低いために、日本でアルバイトをして稼いだ私の方が明らかにお金持ちだったわけです。そういうのって、友達関係としては面白くないなと感じていたのです。いつか、そういう格差を是正したいと思いました。出会えた人間同士が、普通に対等の関係で友達になれるにはどうしたらいいか?という問いが私の根底にあります。
- 古森
- 「旅」の中でそういう対等の関係が普通に生まれることが、本当の「平和」につながるのかもしれませんね。「旅と平和」が言葉になる前の思い、そういう体験から生まれたものだったのですね。