組織の7Sと行動指針 – ユニメディア代表 末田真氏(3/4)

The Value Talk 第1回 株式会社ユニメディア 代表取締役社長CEO 末田真さん

CORESCOとして脈々と続けていく営みの一つとして、企業の理念や価値観について経営層のお話を伺う活動を「The Value Talk」と銘打ってスタートいたしました。日系・外資を問わず、そして大企業からベンチャーまで企業の規模やステージを問わず、理念・価値観についてお話を伺って参ります。記念すべき第1回の取材先は、株式会社ユニメディア 代表取締役社長CEOの末田真さんです。


  1. 「マスメディア」から「ユニメディア」へ
  2. 基本理念と事業ビジョン
  3. 組織の7Sと行動指針
  4. 思いが伝わっていくように

3.組織の7Sと行動指針

古森
「組織の7S」と「行動指針」についても、可能な範囲でお聞かせいただけますか。
末田
もともとは、基本理念と事業ビジョンを書き表す過程で、先に「組織の7S」が可視化されました。抽象度の高いものを先に考えるのではなく、まずは具体的に組織の7Sの要素に分けて経営層で合宿し、議論を重ねていきました。ちょうど、今から3年ほど前、創業して10年が経過した頃のことです。その内容というのは、以下のようなものです。最初に定義した段階から少しずつ変化を重ねていますが。
「組織の7S」項目 重視すべきこと
戦略 ● 情報流通関連をドメインとする
● 「打席数」を増やすことで成功確率を高くする
● マネタイズ力を伸ばし、活用する
組織 ● ユニット制、権限委譲、個別採算
● 事業組織間の健全な競争・共創関係
● 育成の観点:管理型でない仕組み仕掛け
システム ● 組織風土としての高速PDCA(質より量)
● 今までの経験よりやる気や成長性を重視
● 成果に見合ったリターン
価値観 ● 主体者であり続ける(自立心が原点)
● 仕事のスケールが、自分のスケールを大きくする
● 夢実現に向けて万策を尽くす
人材
(人的スキル)
● リーダーシップが最も重要
● プロデュース力、ディレクション力、完遂力
● キャピタライズ力
スタイル
(意思決定)
● スピード重視
● 変化し続ける
● 失敗してもポジティブな教訓に変換して終わる
スキル
(組織スキル)
● 事業創造力、事業成功力
● マーケティング、テクノロジー
● 数多くの事業モデルを研究、体験し生かす
古森
なるほど、先ほど伺った基本理念や事業ビジョンを構成するキーワードがそこかしこに見えますね。そして、より具体的に目指しているものが伝わってきます。基本理念や事業ビジョンは、これらを総合して表現したものであって、まさにこちらがユニメディアの経営の根本にある考え方なのですね。経営層で合宿して練り込んだだけあって、表現に独特の部分が感じられてゾクゾクします。

末田
外部の目で見て、そう思われますか?例えば、どのあたりが目につきましたか?

古森
例えば、戦略の項で、「打席数」を増やすことで成功確率を高くするという記述がありますが、これがまず目に刺さりました。とにかくまず勝負の場に立てということ・・・。それとあわせて、システムの項にある「組織風土としての高速PDCA(質より量)」という表現。とてつもなく速く環境が変わる中で、本当に現実的に生き延びていくための思想がひしひしと伝わってきます。全体的に、行動、実験、経験、学習などを大事にする志向性を感じますし、それが高速回転で機能するためには権限委譲と個々人の自律性・自立性の両立が必要・・・という思想ですね。
末田
その通りです。こうした具体的に目指すべき行動や考え方、組織や個々人の状態などを経営層で濃密に議論して、今の基本理念や事業ビジョンが形成されたわけです。また、抽象度を高める方向とは別に、より個人レベルでの現実感を高める方向で定義されたのが、以下にあります「行動指針」です。

行動指針

仕事は楽しむもの。
夢実現に向けて、進化とそのプロセスを楽しもう。

  • 何に対しても目標を掲げる
  • 他人のアイデアを尊重し、情報を大事にする
  • スピード優先、即行動で目標達成に向けて全力を尽くす
  • ノウハウを共有し、吸収し、組織力を実感する
  • 前向きな失敗を積極的に歓迎する
古森
「楽しもう」という考え方、いいですね!激しい変化の中で、チャレンジングな仕事をしながら、それを苦しむのではなく楽しむ。明るく挑戦していく。素敵なカルチャーになっていきそうですね。
末田
ユニメディアのメンバーには、常に前向きであって欲しいと思っています。これだけ変化の激しい環境で何かにチャレンジすれば、当然のことながら失敗は起こります。失敗すること自体が、実は非常に重要なアセットになりえます。しかし、それらが負債ではなくアセットになるためには、前向きな意識と学習姿勢が欠かせません。そして、学びを個人の枠にとどめずに他者と共有することです。
古森
行動指針の文面から、そうした思いが伝わってきます。

>> 4.思いが伝わっていくように